インタビュー(前編)で、1970年生まれの49歳と年齢を公表した歌舞伎町Noelのさくらはやとさん。
後編では、はやとさんの好きなファッションや個性の出し方、お客様からも大好評だというInstagram(@sakura.hayato)についても語ります。
在籍店:Noel(ノエル)
名前:さくらはやと
1970年、長崎県生まれ

個性を出した自分を見て、好きになってほしい
ー 今日のはやとさんはピンクのPolo Ponyのバンドカラーシャツにジーンズ、スニーカーという割とラフなスタイルですが、今日の着こなしのテーマは?
今日は“爽やかな夏コーデ”ですね。ストライプのシャツに、時計とアクセ、バングル、ピアスなどを白とゴールドでまとめました。

ー はやとさんは28歳でホストになりましたが、当初からオシャレには気を遣っていたのですか
そうですね。あの頃、まわりのキャストはスーツでビシッと決めていた時代に、誰も着てないスカル(ドクロ)のモチーフを着て出勤したり、流行りに乗らずに自分だけちょっと違う個性を出した上で好かれたい感情で、先輩に目を付けられながらも独自のスタイルで出勤してましたね。
まだ歌舞伎ホスト全体がイケイケの時代で、路上で突然の喧嘩も日常茶飯事でしたから、全身ホワイトコーデで出勤した時は、「テメェはナンバーワンか!?」ってツメられた日もありました(笑)。
それでも皆んなオシャレすればもっとカッコいいのになぁ……ホストなのにダサい人って売上凄くても尊敬できないなぁ……って心の底でジレンマを感じつつ、毎回違う髪型で広告に載るようにしたり、写真名刺がない時代にプリクラを撮っては貼った名刺を渡したり、「女性には今までとは違う新しいホストの雰囲気の自分を見て、好きになってほしい」という思いは強かったです。
こっちの方がカッコいいでしょ?って全員同じようなスーツを着てる風習を撲滅したかったです。
ちょうど、少しずつビジュアル系やギャル男を集めたお店などが出てきた時は、めちゃうれしかったですね。好きな独自のスタイルで人気を得るのがホストの魅力的な部分と格好良さで、それで勝たないと。流行を真似する二番煎じではダメだと俺は思います!

今の歌舞伎町ホストで、オシャレだと思う人は5人ぐらい
ー 学生時代からオシャレは好きだったんですか
母親がオートクチュールみたく顧客の要望に合わせた一点物の服を作り上げる洋裁を家で一人でやっていて、それをずっと側で見て育ったので、中学生の頃には自分でリメイクなどをしていました。
それからパンクファッションが好きになって、福岡にある大学の芸術学部に入って、1ヵ月間毎日違うコーディネートで学校に通ったこともあります。だから、もしお客様が毎日来てくれるなら毎日違う格好でおもてなししてあげたいです。
持論ですが、それが高額な飲食代を頂きお迎えする側の礼儀であり、一般の男性よりカッコイイ存在、つまりホストの作法だと思います。
まずはお洒落だと感じさせる格好で演出して七変化のごとく、見た目でもお客様を飽きさせない上で、他の魅力と能力がプラスされ結果を出す存在であるべきだと思うので、“適当なカッコでいいや”的な考えはホストになったからには捨ててほしいですね。
月に一回来るお客様がいたとして、たまたま同じ服を着てたら「またそれ?」って思うじゃないですか。それをこちら側が思わせちゃダメ!
大変だけど店のキャスト全員が1ヵ月間は毎日違う服の店とか最高ですね! まぁ今の歌舞伎町はまずは容姿からってホストも増えたし、率直にうれしいです。

ー それぐらいはやとさんは装いに力を入れているわけですね
自分はスタイルも悪いし、ズバ抜けたお洒落が成立してる人間ではないのですが、流行りの高級ブランドのロゴ服を羽織っただけでオシャレを気取っている人が素敵だとはまったく思わないですし、それだとあの頃のセンス無い時代と同じ。
ある程度の服を自分流に上手くコーディネートできてる人が素敵なんです。今の歌舞伎町ホストで、凄くオシャレだなと思う人は5人ぐらいですよ。
ー オシャレになる秘訣ってありますか
ポイントは「配色とシルエットと素材」ですね。オシャレになりたいなら、30代以上の女性が読むファッション誌を研究するのがいいですよ。
ブランドロゴ等には頼らない配色とバランスの上手な人になれるはず。色と素材とバランスだけでの勝負は、絵を描く感覚に似ているんですよね。
「インスタ見て来ました」と言われると、本当にうれしい
ー はやとさんのインスタグラムはとてもオシャレな雰囲気が伝わってきます
ありがとうございます。自分のインスタに載っている場所は、造り手のセンスが凝縮された場所ばかりです。
投稿は広告デザインの仕事の時と同じ感覚で、見てくれた人が足を運ばなくても、現場の空気感と魅力を規定数内の動画と静止画で最もベストに感じ取れるよう構成して投稿しているつもりです。
ー そこまでこだわって、何が得られるんですか
SNSは全世界の人と繋がることができるので、楽しく投稿しています。自分はその場所に合った着こなしで撮影に行くのが好きなので、ヘアスタイルと共に1枚目に残すのにも使ってるんです。
すべて1枚目が自撮りなので、ナルシストでキモいと感じる人がいるかもしれませんが、どの場所の投稿なのか一発で探しやすいのでこれがいいんです。押売りしてるわけでもないので。
あとは魅力的な場所の投稿を続けることで、自分のデザイン感覚と技術を維持できるし、人を魅了する多彩な知識と上級の感性を身に付けた存在であり続けるには、高いこだわりが生み出した場所を体感することは一番大切ですね。
インスタ映えを毛嫌いする人もいますが、意識すると「魅力とセンス」が確実に向上しますよ。漫画家が最初はヘタだけどどんどん絵が綺麗で魅力的になっていくのと似ています。それにインスタグラムに投稿したい場所に出会うことで、新たな感動が増えることが幸せなんです!
「人も場所も、人の心を動かした時に初めて存在できる」と考えていて、心を動かされる場所や人にこれからも出会い続けたいですね。それが自分の心へのご褒美にもなりますし。
もし自分の投稿場所で気になった場所があったら、デートやお客様への御礼の場所に喜ばれると思うので、ぜひ足を運んで心を動かされてほしいです! 実際に体感するとワンランク上の自分になれるかも!

ー では最後に、歌舞伎町はずばり、好きですか
好きです! 歌舞伎町の好きなところは、どんな多種多様な恋愛の形でも違和感なく存在できてるところです。性別も国籍も関係なく向き合ってる形を自然体で受け流せてる街ってなかなかないじゃないですか。
水商売においては、昔から騙し合いや駆け引きで相手の懐の金銭を引き出す対戦ゲーム的なとこもありますが、それでもいろいろな愛の形があるところが好きです。
ホストも例えお客様の方がかなり歳上だろうと、オンリーワンと思わせることによって大金が動くゲームでもあるからこそ、謙虚に驕らず自分を磨く努力をしつつも選んでくれた姫様には感謝の心で誠実に向かい合って笑顔にさせ続けていきたいし、皆がそういう考えだと、もっと魅力的な歌舞伎町になっていくのかもしれませんね!
さくらはやとさん 20の連想ゲーム
お店 → ホスト展覧会場
お客様 → 運命の人候補
お金 → 価値を高める資源
お宝 → 感性と健康
自分の性格 → おだやか
自分の売り → 教養が広い
自分の値段 →プライスレス
チャームポイント→ 無邪気
顔面偏差値 → 72
ファッションセンス → 良
仲良し → 動物
ライバル → いらない
憧れ → いない
チャンス → 先見力
褒め言葉 → なんか好き♡
ホスト → 容姿端麗
夢 → すべての世界を体感
歌舞伎町 → 多国籍料理
一年後 → 日進月歩
自分 → 一生乗るマシーン